母が認知症になって5年以上たった。
娘の私を介護ヘルパーと思っているようなので私もヘルパーとして接することにした。
「ヘルパーのツカちゃんでーす!どうぞよろしく!」とあいさつすると、母は深々と頭を下げて
「どうぞよろしゅくお願いしましゅ」と3歳児のように言った。
どうも新しい記憶から順に忘れていくようで、原始的な脳だけが動いているようだ。
私も将来こうなるのだろうか・・・(恐怖)
「一緒にヨガでもする?」って半分冗談で聞くやいなや意外と素直にうなずいた。
まだ説明もしないうちに勝手に動き始め、足をなげだし見事にぺたんと前屈してしまった。
(なんだァ~私より体やわらかいじゃん!負けた~)
すぐに集中力は欠け、じっとしていられなくなった。
私の方が疲れてしまった。トホホ・・・
身内はやりづらい!反省。
さらに母は症状が進行していった。
夜な夜な食べ物を求めてさまよい歩く。
ふとんをめくるとバナナの皮と井村屋のあずきバーの棒が出てきた。
もう冷蔵庫の中や家の目につくところに食べ物は置けない状態になり、
介護する側はストレスで痩せ細り、
母だけがブクブク、トドのように太っていった。
目を盗んでお風呂に勝手に入り、父と2人で必死につりあげた。
ハンドマッサージをしてあげると、笑って「気持ちいぃ」と答えた。
そして去年、やむなくグループホームに入所させた。
たった2つのカバンとオムツだけを持って行った。
もう二度とこの家には戻ることはないと思ったとたん、とめどなく涙が溢れた。
「ごめんね。親不孝の娘を許してください。」
現在母はあたたかい家庭的なグループホームのスタッフさんに支えられて
「帰りたい」など一度も言わず、面会も5分で疲れてしまうような状態になっている。
認知症・・・それは神様のプレゼント。死を恐れる事なく終わりを迎えられる。
そう思うことで私達家族は少し救われるような気がするのです。
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