胃がん闘病記

2012年晩秋
遅い紅葉を見ようと妹と訪れていた京都の落柿舎の庭先で、携帯のべルが鳴る.
「俺どうもがんらしい」連れ合いからの気落ちした声。
今日はこの間受けた検診の結果を聞きに行くと言っていたわと思い出す。

ああきたか。いつかこんな日が来るかもしれないと、内々案じていたことが現実となる。
母、兄、妹が胃がんを患い、内二人は手遅れで亡くなっている。

大学病院で詳しい検査を受けること、たぶんまだ初期の段階だろうとのことなど話すが、
内心ショックを受けている自分にも気が付く。
「早く見つかってかよかったじゃないの。早期発見するのが一番というから。」と
なだめて携帯をきる。

12月中旬
大学病院の胃カメラで詳しい検査の結果、ステージ1の胃がんと診断される。
胃の表面を薄く切り取る内視鏡を使った手術になるが、
ともかく胃を切り取らなくてもいいことに安堵する。手術日を決め入院の手続きをして帰る。

2013年1月中旬
明けて1月中旬入院、二日目に内視鏡の手術を受け、病巣を取り除く。
8センチ四方ほど切り取った胃の一部を組織検査に回す。8日間の入院で、晴れて退院となる。

2月初旬
退院後初めての診察。もうすっかりОKの声をいただけるものと勇んで出かけていったが、
また落ち込んだ声のTEL。

「あかんかったー。なんやら一部がもう少し中まで入っとるらしい。今度は胃切るらしい…」
ガックリきている様子が携帯から伝わってくる。なぐさめる私もまだ受け止められない。

2月中旬
1週間後二人で受診する。こういう時男性はあんがいだめなもんらしい。
先生のお話によれば、切り取った胃の一部がステージ2の段階に入り込み
リンパにも転移している可能性があるらしいとのこと。

こうなった場合胃の何分の一かを腹腔鏡手術で切り取るのが、一般的に行われるらしい。
100人に5~6人はこうしたケースになることがあると説明を受ける。

残念だがこれを現実と受け取り、受け入れるよりしかたないのか、他の選択肢はないのか、
セカンドオピニオンに聞く必要はないのかと思案するが、連れ合いは
手術することにまったく迷いはない。手術日を決め入院の予約をして帰る。

3月中旬
手術日前日に入院。少々緊張しているようにもみえるが、案外冷静。
まな板の上の鯉の心境か?無意識のうちに深い呼吸をしている。午後から絶食。

手術日当日。朝8時半前に病室を出る。先生やスタッフ、あとは神様に託して手術室まで送る。
6~7時間かかる手術と聞いていたが、午後4時近くになっても終わらないので
随分心配したが、ようやく4時半過ぎにもどる。

胃の上部約半分を切り取り、食道とつなぐ手術となった。切り取られた胃とリンパ節を
シャーレの上で見せてもらったが、これががんかと肉眼で確認はできなかった。
胃の半分が残され事や、無事手術が終わった事にほっとする。明日から徐々にリハビリも始まる。

3月中旬~4月上旬
術後一週間は痛みと微熱が続き、トイレにいくのがやっとだったが、
痛みが治まるにしたがい気力も戻ってくる。無事 手術を終えた安堵観や、
生きているうれしさが徐々にわきあがってくる様子が私にもよくわかる。

このままスムーズに回復していくといいのだが、この後、食べ物を口から入れるという
健康人には当たり前のことが、胃を切除した人間にとっていかにたいへんな作業なのかが始まる。
体重約10キロ落ち18日間の入院を終えようやく退院となる。

退院後~現在
退院後一か月はそれこそ起きている間は食べるという事が仕事のような状態。
食べられるもの、食べられないものを考え、量、味付けなど試行錯誤の上出しても、
少量で満腹状態になり入っていかない。

食欲がわかない、吐き気、下痢、味覚障害、味の好みの変化、動悸、疲れやすさ等の
様々な後遺症に苦しめられる。
思うように食事ができないいら立ちや、体の回復の遅さにきつい口調となり、
私にあたってくる。

病気のなせることだとはいえ、我慢も限界がを超える時がある。
お互いに一番つらい時期だった。が、退院後一か月の検診では、
すべて順調で他に転移も見られないと、太鼓判を押していただく。

術後二か月たった現在、少しずつ食事のコントロールもできるようになってきたが、
体重はさらに二キロ減り、今は横ばい。筋肉の減少や、何よりも免疫力が落ち
かぜをひきやすくなったことが気にかかる。

「あーおなかがすいた」と言って食べる食事が体に吸収され、
人の体を作り上げていることを実感する。まず落ちた筋肉取り戻すべく、
アイソメトリック・ヨーガやウオーキングを続けていく必要を感じる。

食事はあまりきばらず今は食べられるものを食べられるだけ食べたらいいんじゃないか、
くらいの気持ちでいる。
半分でも残った胃があることに感謝し、残った胃を大切に、少し気楽に生きてほしいと思う。
あせらず、長いスパンで捉えていくことが大切ではないかと今は思っている。

最後にヨーガ療法士の一人として、病院に通いながら思ったことを付け加える。
大学病院という性質上20代の若い看護師が多い。
一回の勤務で10数人の患者を受け持つという。

若いとはいえ過緊張状態を強いられることは必至である。
また手術を控え不安や緊張状態にいる患者達、長い入院が続き自信を無くしそうになったり、
いらいらしている患者達も多く見受けられた。

そうした患者達や、看護師達がいつでもヨーガ療法が受けられるように、
「ヨーガ療法の部屋」を院内に作ったらどうだろう。
そこへ行けばいつでもアーサナがおこなえたり、ヨーガカウンセリング受けられる。
夜間は無理でも昼の間だけでも療法士が交代で常駐している。
そんなことが近い将来できないかと、つらつら考えておりました。
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プロフィール

愛岐ヨーガ

Author:愛岐ヨーガ
愛知、岐阜でヨーガ療法(ヨーガ・セラピー)の
活動を行っています。
お問合せは、お気軽にどうぞ。
aigiyoga@gmail.com

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